深夜に車で駆けつける

スイーツ

#高校生一人暮らし
#ある日の出来事
#遠くにいる母ができる事

いつも通りの日だったのに…

最近確信を得たことがある。
それは「女の子の体はチョコレートを欲するのだ」という事。
女の子と言っても、生理が来て女性になった女の子のことである。

私が女子高生だった頃、休み時間は皆チョコレート菓子を食べていた。
年中食べているが、冬になると女子高生の中では特にチョコレートが盛り上がった。
冬は各お菓子メーカーの新作チョコレートが毎年発売される。
昔はスーパーよりもコンビニが新作の品揃えが圧倒的に多かったので、
高校の近くのコンビニに、友達と一緒に買いに行き、
友達が買った新作と食べ比べしながら休み時間を過ごしたのは楽しい思い出だ。
先日、ふと
息子が「女子はポッキーばかり食べている」と言っていた。
やっぱり女子はチョコ菓子かぁ!と思った。

私の話に戻ると、
大人になってもしばらくチョコレートは大好きだったが、
年齢を重ねて更年期が見えてきた今、そこまでチョコレートに魅力を感じなくなった。
というか、そもそも食欲自体が落ちてきた。
若い頃「美味しい!!」と感動できる頃に
もっといっぱい色々食べておけばよかった、と今思う。

代わりに
お菓子類はもちろん、甘い物が苦手だった長女が、チョコレートに目覚めてしまった。
突然の覚醒に家族皆びっくりである。

長女は生理を迎えてすっかり女性らしい体になったから
もしかしたらチョコレートを欲するようになったんじゃないか?!
…という仮説を私は立てている。

長女はチョコ菓子ではなく、チョコレートが食べたいという。
(私のガチ無添加手作り料理で育った長女は、市販のお菓子が嫌いで、チョコレートが食べたいとはいえ、チョコレート以外の部分の「市販の感じ」が嫌なのだ)
放っておいたら板チョコ1枚あっという間に食べてしまいそうだ。
いくらなんでも健康に悪いんじゃないか?
長女のチョコレート欲が満たされるような
手作りのスイーツ…
チョコレートケーキにしよう!と思い立ち、
長女が喜ぶ顔を思い浮かべながらキッチンに立った。

見た目が悪くてお恥ずかしい。
めんどくさいのである。
ちゃんと綺麗にコーティングすればいいのは分かってるのだが、
どうせ家庭用なので…

味は上出来だ!
あぁ息子にも食べさせたいな。
そう思っていたら電話が鳴った。

息子からの電話

4月の入学から早2ヶ月。
学校は勉強が大変だとはいえ、毎日の生活にも少し慣れたようだ。
面白おかしく過ごせる友達はいないけれど、
お昼を一緒に食べる友達はできた。という状態。

だが私は電話がかかってくる度に、未だに心配のあまり反射的に思ってしまう。
「今日はどんなトラブルを聞かされるんだろう…」
案の定、この日の電話も「やばい」から始まった。
些細な友人トラブルである。
1対1で何かあったのではなく、グループの数名でちょっとしたことがあった。
今思えば後悔しかないが、
息子の「どうしよう」の問いに私はつい「こうしたら?」を提案してしまった。
その提案が、この日全て悪い方向に行った。
詳細は避けるが、
よくある小さなトラブルを発端に、
グループ内の友人のうち一人が、息子ともう一人を双方傷つけて、
ふざけて二人が喧嘩をするように仕向けたのである。
まだ10代の少年達である。他人を傷つける心配よりも、面白い状況になる方を好む子どももいるのだ。
私の息子は、私に似て、他人の気持ちを読み過ぎてしまう繊細な部分がある。
初めての人間トラブルに、息子のメンタルは崩壊した。
日頃の疲れもあったのだろう。
大人からすれば、些細な事だが、今の息子には受け止めきれなかったのだ。

夫の暴走

初めは長女と一緒に電話越しで慰めてはいたものの、
一向に気分が良くならない息子に
私も娘も疲れてきた。
1時間以上の長電話に付き合っていたが、そろそろ夕飯を作らなければという時間になってきた。
私や娘では、息子の役に立つような事はなにも言えないし、
焦りと疲れでイライラしてきてしまったので、
夫に電話相手をバトンタッチする事にした。

帰宅後の夫。
息子と話すと2階に上がっていった。
そして30分後、夫が階段から降りてくるのと同時に、
号泣している息子から私に電話がかかってきた。
息子が最後に泣いたのは小学生の時以来だ。相当な事がなければ泣くはずがない。
どうやら夫は息子の気分に付き合ってやれず、自分がイライラし始め、息子に暴言を吐いたようだ。
「俺にまかせろ」的な事言ってたよな?
昔は優しかった夫だったが、
最近はすっかり頑固オヤジ化してしまっているので
どんな会話だったのかは息子の様子から大体想像がつく。

その後、私は夫にキレ、
娘達は「お兄ちゃん泣かせた!!お父さんのせいだよ!」の罵声に夫もキレ、
夫婦喧嘩が勃発。我が家は一時カオスとなった。

しかし、
今日は夫の事はどうでもいいのである。
夫にも言い分があるのだろうが、そんな物は一切聞いてやれない。
私の全神経は息子なのだ。
あの子は今つらくて仕方ないのに独りぼっちなのだ。
この時夜の9時を過ぎていたが、私は息子のアパートまで駆けつける事にした。
娘達ごめん。
ママにいちゃん助けてくるよ。

こんな時に限って高速道路の通行止め

その日の夕食を手当たり次第タッパーに詰め、
昼間作ったチョコレートケーキを切り分け、
財布とスマホ、着替えを雑にバッグに詰めた。
「大丈夫だからね、朝、目が覚める前に必ずここに帰ってきているからね」
娘達にそう約束した。
娘達は心配のあまり涙目になっていた。
夫が危ない危ないと煽るから悪いんだわ!
「ママ気をつけてね…」
私と喧嘩したイライラを、夫が娘達に当たらない事を祈って家を出た。

道中は最悪だった。
高速道路は途中通行止め。
暗闇の一般道路に誘導された。後続車もなく、とにかく暗い。
いつ動物が飛び出してもおかしくないし、「落石注意」の文字も嫌だった。
民家はいくつかあったが、どこも皆真っ暗だった。まだ11時前なのに。
どこを彷徨ってどこに向かっているのかも分からないまま
ずいぶんと遠回りさせられたので、
道中、夫との喧嘩でヒートアップした心が沈静化してきた。

「私がそばにいればなんとかなる!とにかく独りにさせられない!」

そう思って出てきたけど、
私行ったところで友達問題は何も状況変わらないよね?
でもご飯一緒に食べてそばにいてあげるだけでも違うよね?
いっそ息子連れ帰っちゃえばよくない?

なんだか若い頃を思い出す。
「やって後悔するより、やらないで後悔する方が嫌」
そういうスローガンを掲げた私は
良く考える前に行動してしまう所があった。
こうして夜中に飛び出す事もたくさんあったなぁ。

そんな事を考えているうちに、
やっと闇の道は終わり、徐々に街灯が増え、建物の光が見えてきて、
息子のいる都市に出た時には本当に明るい気持ちになった。

家に帰ろう!夜明けのドライブ

両手に料理を抱えながら、息子のアパートのインターホンを鳴らすと
「いま行く」の声。思ったより明るい声でほっとした。
ドアを開けてくれた息子、でかっ。また背が伸びたね。
息子はなんだか、初めて留守番させられた小学生みたいな目をしていた。
もう抱きしめるわけにはいかないけど、ものすごく愛おしかった。
「お腹空いたでしょう!どうせ何も食べてないんでしょ?」
「うん…」
「今用意するから!食べよう!色々持ってきたよ!鍋とタンドリーチキンと…あとチョコケーキ!」
私の顔を見てほっとしたのだろう、食欲少し出たようだった。
私がキッチンに立っている間、息子は電子ピアノを弾いてくれた。(夜中なので勿論ものすごい小さな音で)少し悲しい和音の素敵な曲だった。何も手に付かないから、私が到着するまでの間ピアノを練習していたらしい。ピアノ、教えてよかったなぁ。

ほかほかのご飯を食べながら
「お母さん来てくれなかったら僕ご飯食べずにずっと泣いて寝てたよ」とポツリと言う。
普段あまり「美味しい」なんて言わない息子が
「美味しい…」と呟いた。
「お母さんごめんね無理させて…」
いいよそんなの、無理でもなんでもないわ。お母さん無敵だから。
母親は子どもの為には自分の命すらも惜しくはないのだ。

食後に二人でコーヒーをチョコレートケーキを食べた。
「帰ろう!今から」
私は息子に提案した。息子は思いがけずの嬉しい提案に「えっ」と少し戸惑いながら
常に家族のところに帰りたくてたまらない息子はすぐに同意した。
私は食事の片付けと洗濯をする間、
息子はバックパックに勉強道具をぎっしり詰め込んでいた。
二宮金次郎の背負う薪より確実に重いだろうなという量だった。
そんな息子と深夜の2時過ぎにアパートを出発した。
道中、私を気遣ってか、それとも昼間の友達トラブルのせいか
息子は一睡もせずに私の運転に付き合ってくれた。
暗闇の雲の合間からベージュの明るい雲が見え始め、少しずつ夜が明けていく景色を眺めながら、
家に着く頃にはもうすっかり明るくなっていた。

家族の力

いち早く息子の帰宅に気づいたのは愛犬だ。
次女のベッドから吠えまくり(次女は眠ったまま起きず)
息子が迎えに行くと尻尾をMaxパワーで振りながら身を捩らせて喜んだ。
お風呂にゆっくり浸かり、愛犬を抱きしめて眠り、家族と過ごせば元気になるよ!
私は家に入ると即ソファにダウンだった笑

数時間後、娘達と夫が起きてきた。
いつもの朝のはじまりだ。
娘達も思いがけない息子の帰宅にとても喜んでいた。
昨日からずっと兄の一部始終をしっている長女は、兄が家にいて安心したみたいだし、
次女は「やったー!今日はにぃにと遊ぶぞー!!」と元気よく学校に出掛けていった。
夫は「無事でよかった、昨日はごめんね」の言葉。
私も今日は午前中から仕事だ。
夜はまたみんなで過ごそうね。

娘達のお弁当

40代半ばになると、徹夜の影響が数日続く。
若い時はもっと体力あったのになぁ。
元々睡眠時間が取れない状況の中での徹夜…体力が回復しないまま、
翌日は娘達がとても楽しみにしている「お弁当の日」だ。しかも2日間。
普段給食を食べている娘達にとって、時々あるお弁当の日は特別な日だ。
数日前から楽しみにしているのだから、寝不足だ、などと言い訳するわけにはいかない。
娘達の好きなものだけを詰めた、最高においしいお弁当を作らねばならない。しかも2日間。
本当はキャラ弁にしてあげたかったが、ごめん無理だった。
ついでに息子の分も作ってあげよう。

↑<1日目>
 ・卵焼き
 ・ケチャップウィンナー
 ・ハムカツ(チーズ入り!)
 ・うずら卵の醤油煮
 ・エビのソテー
 ・ブロッコリー、ミニトマト
 ・キュウイ

うーん…詰めるのが難しい…

↑<2日目>
 ・卵焼き(たんぽぽのイメージで…飾り切り…^_^; 失敗?)
 ・ウィンナー(本日はケチャップなしで)
 ・鮭フライ
 ・からあげ
 ・うずらの卵のケチャップ煮
 ・エビマヨ
 ・ブロッコリー
 ・キュウイ

あっ、ミニトマト入れ忘れた…
なるべく前日と同じ食材を味付けを変えて作った。
学校から帰ってきた娘達「おいしかったよーー!!」と元気よく言ってくれた。
こういう言葉、ほんとご褒美だよなぁって思う。

再び学校へ

家族と時間を過ごし、少しは回復したのかな?
不安とモヤモヤな気持ちを抱えたままであろう
息子はバスで都市に戻って行った。
「もしかしたら明日からボッチかもしれないけど…」
昔から、弱音は吐くけど絶対逃げない息子である。
私はいつも以上に心配の眼差しで、バス停の息子を見送った。

どうか息子の明日が辛い日でありませんように。

翌日。
学校が終わると息子は私にすぐ電話をくれた。
話を聞く前から声が明るかったから本当に安心した。
トラブルの被害者も加害者も、何事もなかったようだったらしい。
男の子なんてそんなもんなのだろうか?
ただ加害者(息子ともう一人を傷つけた方)は、謝罪こそなかったが、いつになく何度も何度も話しかけてきたらしい。
彼もきっと少しは罪悪感を感じているのだろう。

我が家一体なんだったんだろう。

…と
寝不足の体調不良をまだ引きずってる私は、
振り回された?とか感じてしまうが
いやいや
これが大事なんだよ。
生きていれば絶対に人間トラブルは避けられない。
傷つけられる事ってある。困難もある。裏切りや理不尽、死にたくなる事もある。
それを乗り越えていかなければいけない。
乗り越える力は少しずつ、経験して身につけていくものだ。
初めはこうして家族総出で困難に付き添う。
丁寧に乗り越える。
そしたらいつか、一人で辛い気持ちにも対処できるようになると思うのだ。
息子にも娘達にも、親の私達がしてあげられる事の一つだと思っている。

チョコレートケーキのレシピ

今週、家族の気持ちを癒してくれた我が家のチョコレートケーキ。
とても美味しくできたので紹介します。

<材料>18センチ型1個分

  • 卵3個
  • グラニュー糖100g
  • 小麦粉80g ココアパウダー20g(小麦粉だけ90gでもOK)
  • 溶かしバター30g、牛乳20g
      ※以上がスポンジの材料
  • 生クリーム200cc(一箱)
  • チョコレート200g
      ※以上がチョコレートクリームの材料

<作り方>
スポンジを焼く
 ①卵を泡だて、グラニュー糖を加えながら、しっかりとした泡にする。
 ②バターと牛乳を合わせて溶かしておく。オーブンを170度に予熱しておく。型に紙を敷く。
 ③ふるった粉類(小麦粉、ココアパウダー)と、②の液体(バターと牛乳)を数回に分けて加える。ムラがなくなるまで。
    ※粉はダマになるので必ずふるう
    ※しつこく練らないように混ぜる
 ④型に流して170度のオーブンで40分焼く。

チョコレートクリームを作る
 ⑤生クリームを沸騰位に温め、その中にチョコレートを入れて余熱で溶かす
    ※よく混ぜてクリームにする
 ⑥常温になるまで冷ます

ケーキを組み立てる
 ⑦スポンジもクリームも常温に冷めたら作業開始
 ⑧スポンジを横3枚にスライスする
 ⑨スポンジ→チョコレート→スポンジ→チョコレート…となるように重ねていく
    ※中のチョコレート層はスポンジに染み込む感じにたっぷり
 ⑩表面にもチョコレートクリームを塗って、冷蔵庫で冷やす
    ※チョコレートクリームがゆるくて流れ落ちるので、私は組み立てる前に、ケーキの下にラップを敷いて作業を開始。流れたチョコレートをラップでキャッチし、冷蔵庫で固めた後に、流れたチョコレーを側面に塗っている。他に良い方法が見つかった際には追記する予定。